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劇団おぼんろ第13回本公演「ルドベルの両翼」

※ネタバレありです。

王子駅から歩いて数分。BASEMENT MON★STAR

 

黒い壁に挟まれた細ーい階段を降りると、そこには不思議な空間がありました。

 

私がこの劇団を初めて見たのは昨年、吉祥寺シアターでゴベリンドンという作品でした。

とても幻想的で、美しい物語。演じる本人達が語り部と自称するとおり、物語がそこにはあって。

5人しか舞台にいないとは思えないほどの圧倒的な熱量にやられ、すっかり虜になってしまったのです。

そして待ちに待った今回の公演。

 

階段を下った先で一人一人と言葉を交わし、握手しているのは、主宰であり脚本演出も手がける末原拓馬さん。劇場に入ると、残りの4人の語り部さんがそれぞれ、お客さんに声をかけて回っています。

「初めてですか?おすすめはこのあたりです」

「おぅ、久しぶり」

「今日は友達は?」

「この席だと衣装当たるかも、その時はごめんなさいね。」

本当に細やかで。面食らうほど距離が近い。

これは内輪感にもつながって、もしかしたら諸刃の剣なのかもしれないけど。私的には好感がもてました。

おぼんろの公演の座席はとても変則的。桟敷席が殆どで、劇場中に張り巡らされた通路のそばにも席がみっちり。舞台の前後ろも特にない完全自由席。むしろ自由座布団。

次の公演は、私もおすすめの席聞いてみようと思います。勇気があれば。←

 

そして時間が過ぎ物語が始まる気配がし始めた頃、末原さんが劇場内を走り回りだします。

どうしたのかなと眺めていると、各スタッフ、役者と握手を交わしています。こういうの好きです。そして最後、語り部の1人、藤井としもりさんから背中を、バシッと叩いてもらって劇場の中心へ。

さっきまでの柔和な表情とは打って変わって、柔らかい笑顔と真剣さが入り交じる表情。

この人の表情の切り替えにゴベリンドンの時もやられたことを思い出します。

 

見ている側の「想像力」を引き出すために、彼が話す前説はゴベリンドンの時と同じもの。でも全く違う物を想像したり、軽く催眠にかけられているようなそんな気持ちで言われるがまま目を閉じます。

「次に手を叩いた時、あなたは物語の中にいます」

 

その言葉そのままに、それから約2時間、私は物語の中に連れ去られていました。今回は、仲間の話。弱虫が成長して、守るべき人を得て、人が人を思いやって。見終わった跡に、胸に温かいものが残るのでした。

 

劇中、とても重要なシーンの中の歌で

「オイラはオイラの大事なものを何が何でも選ぶのです」

という歌詞があるんですが、対して大事でもないものをよく選んでしまう自分には耳が痛く。そう言いきれる強さが本当にうらやましいと思ってしまいました。

見終わった後に、やなことは沢山あるけどとりあえず明日も頑張ろう。と素直に思える。そんな時間でした。

 

来年、おぼんろさんは専用劇場を作るとのこと。そこでは毎日物語が語られる。と主宰の弁。

 

そんな場所が出来たらきっと通いつめてしまいそうです。昨年感じた期待がそのままに、むしろそれ以上に深みにハマり、まだまだこれからも追っかけていきたい劇団となりました。

 

素敵な時間をありがとうございました。